▲生活の知恵から生まれた保存食+芸術性
『テリーヌ』とは、本来は釉薬をぬったテラコッタ製の蓋付き土鍋の事を呼ぶそうです。そして、このテリーヌと呼ばれる容器で作られた料理も『テリーヌ』といわれています。
テリーヌは、もともと中世ヨーロッパの保存食でした。
冬の食糧不足の時期に、肉や野菜、魚介などの余りものを容器にいれ、焼き上げたのが始まりだそうです。
使用する脂や肉から出たゼラチン質が具材のいたみを防ぎ、1週間ほど保存ができたので、フランスの家庭で作られてきました。
食材を大切にする知恵から生まれたのですね。
今もフランスのスーパーでは、テリーヌのコーナーがあるそうですよ。前菜としてだけでなく、ワインにもよく合いますし、身近な食べものなのでしょうね。
そんな身近な食べものにも美しさを求めるのがフランスでしょうか。
テリーヌの断面には芸術性、遊び心、素朴さなど、切った時にしか出会えない断面の模様に目と心を奪われます。
多くの芸術家が愛したフランスならではの文化かもしれませんね。
日本の食卓には馴染みが少ないお料理ですが、おうちディナーで並ぶと特別感がアップし、新鮮かもしれませんね。クリスマスメニューの候補にいかがでしょう♪
画像のテリーヌポットは、フランスの東方、ドイツとの国境付近にあるSoufflenheim(スフレンアイム)という町にある歴史あるERNEWEIN-HASS(エルヌヴェン・ハンス)窯のものです。
スフレンアイムは古代より、この土地でとれる粘土を使った陶器づくりで有名です。紀元前から陶器づくりが実在したと言われますが、確認がとれているのは1142年からです。
陶器づくりは、神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世が、地元の陶器職人組合に対して、アグノー森から粘土をとってよいという特権を与えたことで成長しました。
その中のひとつがエルヌヴェン・ハンス窯です。1165年にその特権を得てから今日まで、永く続く窯のひとつのようです。
今日もスフレンアイムではいくつかの窯があり、アルザス伝統料理用の家庭用品を生産しています。日本では「スフレンハイム焼き」で知られていますね。
食器というよりは調理用の陶器が主軸です。アルザス伝統料理を調べていただくと、このテリーヌポットが生まれたのも納得ですよ♪
<上記写真の商品はSOLDとなっております。ご了承ください。>
▲違和感と存在感
私は店内のテリーヌポットを見て、魅力的な違和感と存在感を感じます♪
なぜなら、これまでにご紹介したアンティーク食器は、ヨーロッパの王侯貴族が東洋の磁器に強い影響を受け、それを自国で製作しようとして生まれたものや、一般市民が王侯貴族に憧れて作られたものばかりで、華やかさがあるものばかりでした。
しかしどうでしょう。こちらのテリーヌポットはまるで正反対。シンプルで素朴な風合いですよね。
テリーヌが中世ヨーロッパ(476年 ~1453年)の保存食であったことから考えると、(なかなかこの当時のものが現存することはないでしょうが)もしかして店内で最も歴史ある陶器はテリーヌポットかもしれない?!?!なんて思うと、ロマンを感じます♪
調理用として使われてきた跡が温かみある味わいとなっています。
経過年数により、直火でお料理して頂くことはおススメしていませんが、蒸し料理や、煮物やスープなどを入れてテーブルに並べたり、キッチン雑貨、インテリアとして使って頂いたり、日常に馴染むアイテムです♪
<上記写真の商品はSOLDとなっております。ご了承ください。>