▲ヴィクトリア時代のインテリア
ヴィクトリア時代、人々は部屋に飾り物を置くことを楽しんでいました。女性たちは、押し花や貝殻、羽根、ビーズなどを使って飾り物を作ることに時間を費やしました。そして産業革命により、陶磁器や木製、銅製の装飾品がたくさん売られるようになり、リビングルームは所狭しと飾り物が増えていきました。
飾り物のひとつに「フレーム」があります。
現在のヨーロッパの家にも、暖炉の上や壁面にたくさんのフレームが飾られていますね。家族の写真や友人との写真をフレームに入れて飾る習慣があります。計算されてか、無造作にか分かりませんが、サイズや装飾が異なる複数のフレームを、見事にまとめてあるな…と、いつも感心します。
フレームについて少しタイムトリップしてみましょう。
フレームの歴史は、数万年前の洞窟壁画にその原型を見出すことができるそうです。そこには絵と絵、絵と壁面に、それらを差別化する線が引かれているものがあるらしいのです。
現在のフレームの原型となるヨーロッパのフレームの歴史を見ても、キリスト教会の壁画や祭壇画のための縁取りが起源とされます。神聖なものへの差別化がフレームの原点と言えるようです。
イタリア、ルネッサンス期の15~16世紀の宗教画の額縁は、神のいる天国を象徴するように複雑な彫刻に金彩が施されたり、宝石がちりばめられたり、眩しいくらいに輝いていて、中に収められている美しい宗教画に負けないくらいの芸術作品です。
装飾だけが素晴らしい訳ではなく、科学的にも考えられている有名なフレームもあります。「カルロ・マラッタ・フレーム(Carlo Maratta Flame)」です。いくつもの凹凸に木彫りで装飾されていてますが、これは人の目が絵に引き込まれるように作られています。
16世紀にはたくさんのイタリアの職人がフランスへ渡り、各地にルネッサンス芸術が広まっていきました。レオナルド・ダ・ヴィンチもそのひとりです。フレームはイタリアでは芸術家や彫刻家が作っていましたが、イギリスでは家具職人が作るようになり、シンプルな形が生まれました。
チェルシーオールドではいろんな種類のフレームが揃っています。「これはカルロ・マラッタ・フレームかな?」「装飾が美しいからイタリアからフランスに伝わった作り方かな?」「このシンプルさはイギリスだな」など、フレームの中に入れる絵や写真などをイメージすると同時に、フレームのデザインや形を見て楽しんでいただけます。ぜひご覧くださいね。
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▲強さと美しさを兼ね備えたロートアイロン家具
ロートアイロンを日本語で言うと、錬鉄(れんてつ)です。
その歴史は大変古く、発見された最古のビーズや剣は約5000年前のものだそうです。
それらは「隕鉄」でつくられていました。隕鉄とは主成分が鉄とニッケルから成る隕石です。
数千年前、現在より隕石や隕鉄のかけらが地表に存在していたと考えられます。とは言え隕石です。大変希少なものです。
また、空から降ってきた隕鉄には天空の力が宿っていると信じられていたようです。当時、どうして隕鉄が空から降ってきたと分かったのか…それはまだ解明されていないようですが、ピラミッドをつくった人たちがいた時代ですから、確たる証拠があったと推測してます(*^^*)
これらの事から、当時の隕鉄でつくられたビーズや剣は、王の墓の埋葬品など最高級で特別な品物だったと考えられませんか?
時が流れます。
18世紀は、鍛冶屋にとって至福の時代でした。ヨーロッパ全土での産業革命の結果、中産階級が誕生。新しく建設される公園や急増する住宅に、ロートアイアン建材は大量に供給されました。
各地方独特のデザインが発展し、ドイツ語圏では葉と蔦や枝を表現した伝統的なモチーフが流行しました。さらにドイツのシンプルな雰囲気とは対照的に、1720年代フランスでは、デコラティブな雰囲気が特徴のロココ様式が誕生しました。(ちなみに、ロココ様式はイギリス人には殆ど受け入れられなかったようです。)
しかし18世紀の終わりにかけて鋳物が登場すると、砲を鋳造する技術が建材に転用され、安価で大量にネオクラシック(古典にテーマをとり現代的に創作したスタイル)の製品が大量に供給されました。
第二次世界大戦、ロートアイロンは殆ど生産されなくなりましたが、1970年位から再びロートアイアンが注目され家具の分野で復活しました。
画像の商品はイギリスで買い付けたフランスアンティークです。ドイツでもイギリスでもない、ロココ調の雰囲気を感じるロートアイロン家具です。月日を経た重みが味わいとなり存在感を出しています。皆さまはどんな使い方をされるでしょう♪
▲ガス灯の世界観をインテリアに
イギリスは世界で初めてガス灯を街灯として設置した国です。最初に取り付けられた場所は、ロンドンのトラファルガー広場周辺の街路で、現在も当時の面影を見ることができます。
日本では横浜の馬車道通りに「イギリスからやってきたガス灯たち」と題し、イギリスのいくつかの名所にある同じ街灯が設置されており、その中の一つにこのトラファルガー広場と同じ街灯を見ることができます。
1872年(明治5年)日本で初めてガス灯が街灯として設置された場所が、この馬車道、元町通りにかけてです。当時は提灯や行灯しかなかった時代。この街灯の光は、それはそれは輝かしく感じたことでしょうね。
文明開化の象徴として捉えられた反面、恐怖を感じた人たちもいたそうです。それ程までに大きな影響をもたらしたのですね。
明るい夜を知る現代の私がガス灯を見ると、ハリーポッターの世界観♪ 星の王子様が5番目に訪れた星♪ など、想像してワクワクしますが(*^^*)
さて、世界で初めてガスが使われたのは1792年。イギリスのウィリアム・マードックが石炭を蒸し焼きにした時にできるガスを利用して、ガス灯を灯しました。
そして1812年、イギリスのフレデリック・ウィンザーらにより世界最初のガス会社がロンドンに設立されました。その後、欧米各地でガス会社ができ、明かりとしてガス灯が広がりました。
1879年トーマス・エジソンによる白熱電球の発明は、それまで灯りの主役であったガスにとっては大きな逆風となりましたが、ガスは調理器具や暖房などの熱源として私たちの生活を支えてくれています。
そんな身近なガスの始まりにガス灯があり、優しい光で人々に大きな影響を与えたかと思うと、このブラケットを興味深く見ていただけるのではないでしょうか。
こちらはフランスで買い付けた真鍮ブラケットです。華やかな装飾の雰囲気がフランスらしさを表していますね。
イギリスで買い付けたガス灯時代のブラケットもございます。こちらは対照的にシンプルな装いです。下のリンクからそれぞれご覧ください。
<上記写真の商品はSOLDとなっております。ご了承ください。>