▲味わい深くなった石板が可愛いブラックボード(黒板) イギリスアンティークインテリア雑貨
黒板*Blackbord*
数年前、アメリカのオクラホマのエマーソン高校で約100年前に使われていたほぼそのままの状態の黒板が発見された記事を見つけました。 黒板をホワイトボードに取り替える作業の際、取り替えようとした黒板の後ろから更に古い黒板が出てきたのです。 その黒板の質感や雰囲気が店内にある黒板と似ているなぁと気になっていました。そこで今回はまもなく始まる新学期に因んで黒板の世界をのぞいてみたいと思います。
黒板の原点はホーンブックです。ホーンブックは15世紀から19世紀の初め頃まで、イギリスで文字を習い始める子どものための教則本でした。 アルファベットや読み方、数字、主の祈りなどが一枚の紙に印刷され、羽子板よのうな板に貼り付けられたその上に傷つかないように鹿の角(Horn)を薄く切った薄いシートでカバーされていました。
木以外にも象牙や革、金属など様々な素材のホーンブックがあったようです。 古い資料で見るホーンブックを手にする子どもの様子は、現代のタブレットを持つ子どもと重なります。
当時、学校に行ける子どもは、まだまだ一部の限られた家の子だけでしたから、ホーンブックを使う子は恵まれた家柄の子どもだったのでしょう。 やがて多くの庶民も教育が受けられるようになると、黒板が必要となりました。より多くの人に「伝える」ための道具として黒板が活躍しました。
さらに1810年頃、フランス人がアメリカに黒板を伝え世界に普及したようです。 その立役者がウエストポイント陸軍士官学校で軍事工学を教えるクローゼ教授でした。黒板を使った教育方法が効果をあげ評判になりました。
日本に伝わったのは明治の初め頃、大学南校(東京大学の前身)のアメリカ人教師が、アメリカの学校教育システムを伝授するため、教科書や教育機器を取り寄せた中に黒板とチョークがありました。
「伝える」道具として世界中に普及した黒板。チェルシーオールドにあるこちらの黒板は何を伝えるために使われていたのでしょうね♪♪
▲イギリスアンティーク 黒板 ブラックボード 雑貨
チョークは白墨の原料である「白亜(石灰岩)」です。白亜は、恐竜がいた白亜紀(約1億4,500万年前から6,600万年前)の頃にできた地層から採れます。
白亜の主要原産地はイギリスで、昔からヨーロッパの建物の白壁の材料として使われてきました。 ヨーロッパではこのように白亜が馴染みあるものだったのですね。そのような事から、イギリスでは白亜で硬い石に文字や絵などを書けることが知られていました。
やがてフランスで、石灰の粉末を焼いてから溶かして棒状に成型した筆記用具が誕生しました。それがチョークです。 このような事から、チョークは黒板より先に誕生したと推測されませんか? チョークで硬い石に書いていたのが、より多くの人に、より詳しく「伝える」ための道具として黒板が誕生し、チョークと共に現在も活躍しています。
最近ではホワイトボードの普及や、タブレットなど他の道具が増えてはいますが、ずっとあり続けてほしい道具のひとつに感じます。