繊細で美しい模様の絵皿にはコレクターも多いはず。そこには古い窯で作られた知るほどに楽しくなる歴史があります。
1色で描かれた転写
近ごろ特に女性に人気のあるアンティークの食器は、絵柄の入ったフランスの古い窯のもの。みなさまも目にする機会が増えたのではないでしょうか。1色で描かれた転写はどれも繊細で、飾っておくのにもふさわしいものばかり。
お気に入りの絵柄のプレートを1枚ずつ集めたら、写真のように白い器と合わせるのが、私のお気に入り。色は深い青や緑が多いので、絵柄が引き立って、異なるデザインでもシックにまとまります。ゲストが好きな絵柄を選ぶのも楽しいですね。
ひし形の小ぶりなプレートは、「ラヴィエ」という前菜用。お茶菓子などにちょうどいいサイズ。
ファンに人気の古窯サンタマン窯(のちにムーランデルー社に)は、1705年、フランス北部のサンタマンレゾーで創業。
東洋の影響
シノワズリ(中国趣味の美術様式)など、ヨーロッパでの東洋への憧れが反映された絵柄。松などがあしらわれ、染め付けのような趣がある。2色とも同柄。1875年のサンタマン窯製。
十字軍のモチーフ
二重のクロスは十字軍の紋章。外敵から国境を守る意味で用いられた、トゲのあるアザミの花が描かれているところに歴史を感じる。深めの大皿。
赤い絵柄もあります
可愛らしさも感じる赤の絵柄も。食卓で組み合わせるなら白い器がおすすめ。単色なので派手にならず、人気が高い。サンタマン窯やサルグミンヌ窯のもの。
6枚セットが基本
こちらは6枚の柄違いで1セットのプレート。落ち着いたブラウンで、繊細なボタニカル画のようなセットは、中に描かれている鳥の姿や位置が少しずつ異なっている。おもてなしの際の取り分け皿におすすめ。
バックスタンプのお話
裏のバックスタンプにも注目を。あなたの好みの窯が見つかるかもしれません。フランスにある陶磁器の窯はとても多く、「ジアン」のように現存しているところもありますが、時代による統廃合があったことで、バックスタンプ(刻印)のデザインが異なるのが面白いところ。2つの社名が入っていたり、年代で絵柄が変わったり。ごく限られた年代にしか存在しなかった窯の名前を見つけたときは、思わず心が躍ります。
サンタマン窯のマリールイーズシリーズ。壁の模様の王冠と剣の入ったサンタマンの紋章が主なスタンプの柄。
ムーランデルー社の同じシリーズ。スタンプは風車の柄に。
同じサンタマン窯でも、年代やシリーズによってスタンプが変化する。
チェルシーオールド 店内の様子
白い器だけを集めた一角。なめらかな釉薬(ゆうやく)や貫入の入った味わいが一つひとつ異なり、見くらべながら選ぶのも楽しい。クレイユモントロー、サルグミンヌなどファンの多い窯のものがぎっしり。
雑貨が積み上げられた入り口のコーナーから、すでに気分が盛り上がる!
ベッドまわりには、アンティークリネンやレースが優雅にかけられている。
スーピエールからコンポティエまで、圧巻のラインナップは、クレイユモントロー窯のシリーズ。
もちろん、絵柄の異なる6枚組のセットもあり。
立体的なモチーフを使うバルボティーヌという手法のプレート。フランス人が大好きな初夏のホワイトアスパラガスや、牡蠣(かき)専用の器があるのも特徴。「日本で旬のタケノコやマツタケを楽しむようなものです」。パリでは専門店もあるほどの人気。
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こちらの記事の出典は「私のカントリーNO.110」です。
主婦と生活者 私のカントリーNO.110
2019年9月17日発行 118~120ページ
ISBN:978-4-391-64256-8