▲糸の芸術 布×刺繍
中島みゆきさんの名曲のひとつ「糸」が、なぜか頭の中を流れています♪
そんな頭でふと思いました。
私が着ている服は、100年後にも着用できるのだろうか?
数年後に自分でカットして掃除に使う想像はできますが、100年後に誰かに使われる想像が全くつきません。
また、クローゼットにある母に買ってもらったフォーマルは数十年経った今も着ているし、祖母宅の屋根裏には100年以上前の着物が残っていた事実などから、
100年後に残る服の条件とは、◆材料の質◆お手入れ◆保管状態のバランスではないかと考えました。
なぜこんな事を考え始めたかと申しますと、
アンティークの布ってどうなの?と、友人から質問された事がキッカケでした。
オーナーが買い付けてくるリネン、ドイリー、レースは全て状態が良く、これが普通だと思っていましたが、
当たり前ではないのかも?と、考えました。
例えばリネン。◆材料の質について。
リネンとは亜麻(あま)科の一年草で、約8000年も前から使用されている人類最古の繊維です。エジプトではミイラを巻くためにも使われ、イエス・キリストの遺体を覆った「聖骸布」もリネンでした。
リネンは一度収穫すると5年から7年はその場で収穫できないので、現在も原材料が貴重で製品は高価ですが、強度があり水を吸うと更に強度が増し、吸湿や発散も他の繊維に比べ優れているので長く使えます。
次に◆お手入れ◆保管状態
18世紀にはリネン生産量が特に多かったようです。産業革命も関係したのでしょう。布製品もたくさん生産されたはずです。絶対数が大きいと後世に残る数も多いとは思いますが、それだけが理由でしょうか。
ここで、「刺繍」との関係性が出てきます。
一針一針丁寧に刺していく「刺繍」。作り手の祈りや想いがこめられた「糸の芸術」ですね。
その土地の風土や風習が土台となり進化してきた刺繍は、世界中にたくさんの種類があり、それぞれの由来を知ると全てが魅力的です。結婚時、クロスに二人のイニシャルを刺繍したり、家の紋章を刺したものを代々引き継ぐなど、刺繍には想いがこめられています。
そんな刺繍が入ったものを使う時、洗う時、保管する時、自然と丁寧に取り扱いませんか。
チェルシーオールドにあるリネン、ドイリー、レースは、きっと大切に大切にされてここに来てくれたかと想うと、愛おしく感じます。
次はどんな素敵な方とのめぐり逢いがあるでしょう。
中島みゆきさんの「糸」からお借りすると、逢うべくして出逢うことを「仕合せ」と呼ぶそうです。
皆さまにとって仕合せと感じるアンティークが見つかりますように。
さて、画像のアンティークリネンのベッドシーツは今ではなかなか見つけるのが難しくなってきている物の一つです。普段使いはもちろん、クッションカバーなどにリメイクして使う事もできます。
▲スコットランドの国花「あざみ」
こちらのランチョンマットは、スコットランドの国花のアザミがモチーフになっています。
国花になった理由は諸説ありますが、一説によると、10世紀、デンマーク軍によるスコットランド侵攻時にスコットランド軍はデンマーク軍に対して劣勢を強いられていました。守勢に回るスコットランド軍は、砦で篭城することを選択します。これに対しデンマーク軍は夜襲計画で一気に砦の攻略を狙いました。
ところが夜襲に必要な灯りを十分に確保できなかったのか、裸足の兵士がアザミを踏みつけてしまったのです。アザミの棘が刺さった兵士は痛みを堪えることが出来ず叫んでしまい、その声がスコットランド軍に聞こえ夜襲を知り、スコットランドは独立を守ることに成功した事から国花となったという説が有名です。
私も幼い頃に、アザミの美しさに吸い寄せられ摘もうとして痛い思いをした記憶が残っています。
チェルシーオールドの周りにも、色とりどりの野花の中にアザミが咲き始めましたが観るだけにしています(^^)/
アザミの種は世界に250種以上あり、日本には100種以上も存在するそうです。チェルシーオールドの周りのアザミは「ノアザミ」のようですが、スコットランドの国花のアザミがどの種のアザミを示すかは、はっきり分からないそうです。
しかし、日本のノアザミではなさそうです。スコットランドに咲くアザミは、見て危険と分かる棘を持つ種類のようです。きっと兵士たちはこういうアザミの棘を踏んだのでしょう。
しかし、棘がある花は魅力的な花を咲かせますね。
スコットランドではアザミの紋章はスコットランド中に溢れています。ラグビーチームや地元サッカーチームのシャツから、組織や企業のロゴ、警察官の制服、スコットランドの製品やお土産にも、モチーフとしてよく使われているそうです。
チェルシーオールドにもアザミをモチーフとした商品アクセサリーやプレートを取り揃えております。アクセサリーは上品で落ち着きのあるデザインが多く素敵です。ぜひ探してみてください。
<上記写真の商品はSOLDとなっております。ご了承ください。>
▲刺繍糸の老舗DMC(ドルフュス・エミッグ&カンパニー)の箱・刺繍糸セット
フランスのドルフュス・ミエッグ&カンパニーはヨーロッパで最も古いインド更紗の製造業者として1746年に設立。刺繍糸に耐久性とシルクのような美しい輝きを与える技術を開発してから刺繍糸の老舗メーカーとしての歴史が始まりました。
刺繍糸の製造技術の発展と刺繍の種類の多様性に伴い、刺繍文化も発展します。
日本ではヨーロッパから伝わったクロスステッチ刺繍が最も身近に感じますね。
日本刺繍もありますが、着物や帯、相撲の化粧まわし、お祭りの山車など文化財のような特別な物という印象です。
日本刺繍の原点は約西暦500年にインドから中国のシルクロードを渡って伝えられた「繍仏」(しゅうぶつ)という仏像を刺繍によって表現した物だったそうです。特に繍仏が広まったのは寺や仏像が盛んに作られた推古天皇の時代です。
その後、平安時代には貴族の衣服の装飾や雅楽の衣装に刺繍が施されるなど、刺繍文化が広がっていきました。
また違う側面から見ると、日本では縫い目に呪力が宿るとされていたため、大人の着物に比べ縫い目の少ない子どもの着物には悪いモノが寄り付きやすいと考えられ、子供を守るために着物の背中に「背守り」と呼ばれる刺繍を施す風習がありました。
現代では、クラフトが好きなお母さんが洋服のワンポイントとして背中に付けてあげる方もいますね。
少し話がそれますが、そういう風習などから戦時中には千人針があったのかもしれません。千人針は多数の人の祈願によって目的を達成させる合力祈願(ごうりききがん)の一種です。他にも千羽鶴、寄せ書きなども関連します。
刺繍という文化は意外と身近にあるものかもしれません。
さて、画像の箱の中には刺繍糸が入っています。材質などは不明ですが、手触りがとても柔らかく感じます。色はヨーロッパ独特の落ち着いた優しい色合いに見えます。
箱のデザインもお洒落ですので、インテリアとして飾ってもいいですね。