▲チッペンデール様式
家具もガラス食器も 『チッペンデール様式』のものは特徴があり、パッと見て分かりやすいです。
例えばガラス食器の場合、上の画像のようにシンプルで気品のあるデザイン、家具の場合は流れを感じる優雅な曲線と猫足が特徴です。
このチッペンデール様式の生みの親、トーマス・チッペンデールは1718年ウェストヨークシャーのオトリーで生まれました。家具の修業をした後イギリスに移り、キャビネットを中心に家具職人として働いていました。
彼が36歳の頃、自分のデザインをまとめた本を出版しました。それが彼の名を不動のものとした、「The Gentleman and Cabinet Maker’s Director」です。現在のカタログ本・デザイン本のようなものです。この本が爆発的にヒットしチッペンデールの名はイギリス中に知られ、貴族たちから家具だけではなくインテリアデザイン全体の注文が入るようになりました。
250年以上前、彼がどんな気持ちでこの本を出版したのか…想像するだけでもワクワクしませんか☆
ライバルが多い世界の中で勝ち抜く戦略だったのか、純粋に記録しておきたかったのか、仕事の効率化のためなのか…
ともあれ彼のデザインとプロデュースのバランスの良さが素晴らしかったのは事実です。
さすがに250年以上前のチッペンデールが手掛けた現物は殆ど残っていませんが、彼のデザイン本があったからこそ「チッペンデール様式」のものが現在もつくられています。
生まれた国は違いますが、モーツァルトも彼と同じ頃に生まれ、多くの楽曲を書き残してあったおかげで、今までもこれからも愛される音楽があるのと同じように、チッペンデールの本も同じような役割を果たしているのかもしれません。
さてここで、チッペンデール様式を取り入れたピアノとバラをご紹介します。
ピアノのチッペンデールは、1950年代の一時期、スタインウェイが生産した希少スタイルで有名です。ピアノ本体や椅子の脚が美しい流線美の猫足です。材質はウォルナットで半艶塗装又は艶なし仕上げ、ウォルナットの木目が上品に浮かび、大変贅沢で貴重なピアノです。
現代ではヤマハ、カワイからもチッペンデール様式のピアノが販売されているようです。
次にバラのチッペンデールは、花が濃いオレンジ色からピンクへと変化し、フルーティーな強い香りが魅力で、葉は光沢のある濃い緑色です。花芯が4つに割れ花びらが細かく分かれて全体が渦を巻いているような形です。繊細なフリルが重なり合っているようです。
どちらも共通する魅力があり、このピアノとバラからもチッペンデール様式のイメージが明確になって頂けたら幸いです。
今回もおまけ(*^^*)明日ちょっと自慢できる小話です。
ディズニーのキャラクター「チップとデール」。名前の由来は、チッペンデールからきているそうです。
<上記写真の商品はSOLDとなっております。ご了承ください。>
▲脚付きガラス食器
グラス以外の脚付きガラス食器というと「コンポート」をイメージする方が多いかと思います。
なぜ脚が付いているのか、いや、なぜ脚を付けたのか気になりませんか?
そもそもなぜ「コンポート」と呼ぶのか(^^♪ そこからひも解いてみます。
コンポートとは、果物を砂糖水で煮たヨーロッパの伝統的な保存方法でもあります。
あまり甘くない果物を砂糖水でいただきやすくする目的で作られたとも。
最近は美味しい果物が増えて作る機会が少ないかもしれませんね。私もここ数年、作った記憶がありません。
答え(↓少々ややこしいですが、お付き合い願います(^^))
昔、このコンポートをこうした脚付きの皿にのせていたから、その皿自体をコンポートと呼ぶようになったそうです。
次になぜ脚を付けたのか。
砂糖が貴重品で貴族や富裕層しか使えなかった時代、お砂糖を使ったもので来客をもてなす事は富と権力の象徴でした。
象徴したいものは特別感を演出するために高い位置などに飾って目立たせませんか?そういう心境もあり脚付きの食器が作られたのではないかと推測しています(^^♪
もちろん貴重な砂糖ですから、大切に扱うという想いもあったでしょう。
そして(果物の)コンポートに始まり、ボンボン、ケーキなどお菓子文化の進歩と共に、用途に合う脚付きガラス食器が生まれたのだと思います。
他の理由もないか検証してみようと店舗にあるコンポートを全て手にしてみました。
すると分かった事は、全てのコンポートが持ちやすいのです。握りやすく、持ち歩いても安心感があります。握ってみて想像できたことは、家族やお客様にお菓子を「どうぞ」と、オ・モ・テ・ナ・シをしやすかったのかな(^^♪と。
お花やエアプランツ、アクセサリーなどを飾ったり、高さを出すことで、テーブルコーディネートの観点からも活用できるなど、アイデア次第で活用の場が広がるのが脚付き食器の魅力ですね。
<上記写真の商品はSOLDとなっております。ご了承ください。>
▲蓋付きガラス食器
食器の蓋を開ける行為、大人になってもワクワクする感覚がありませんか?
何が入っているのだろうと開ける前に想像し、開けた後は期待を裏切らない内容に感動詞が出ます。
日本食ではお吸い物、お鍋、鰻など、保温や安全性が目的ではありますが、それ以上に特別感があります。
上の画像はフランスアンティークのチーズドームです。見た目でまず「わぁ」と、声が出てしまいます(^^♪
文化はまず上流階級からスタートし、産業革命などによる技術の発展が後押しして中流、一般へと伝わっていきました。
上流階級の食器の代表として銀食器があります。殆どの種類が銀食器で揃えられ、お客様のおもてなしとして使われていました。砂糖の使用量と同様に、シルバーも富と権力の象徴でした。
そんな銀食器は揃えられないけれど、ガラスや他の金属で作れるのならと工夫してできたものが数々あります。
今回ご紹介しますジャグ、脚付きの食器、ドームも同じでしょう。
技術の発展により、人々が上流階級の文化を取り入れやすくなり、更にアレンジして活用し、日常を豊かにしていったのではないでしょうか。
先に書いたチッペンデールもそうでした。高価なものを中流、一般の人にも使えるようにという想いでデザイン、制作したのです。
もし私が身分制度のある時代にいたら、自分より上の階級の生活に憧れたでしょう。あれがあれば…これがあれば…と、思ったはずです。チッペンデールのような人が現れたら、たちまちヒーローです(^^♪
技術の発展により物が買いやすくなれば、がんばって買おうと意欲がわきます。
当時の家具や食器などは、そんな人々の想いが積み重なってできたのではないでしょうか。
こちらのドームは、木製ボードや他のガラス皿やコンポートなどと合わせて使うこともできますね。
<上記写真の商品はSOLDとなっております。ご了承ください。>